突然ですが、皆さん「家事室」と聞いてどんなイメージを持たれますか?
台所の脇のちょっとしたスペース活用、またはストックルームの延長などでしょうか。
実は今、注文住宅の間取りでリビングや寝室と同じくらい「家事室」の存在が注目されています。
例えば、家事室があることで、効率的に家事をこなすことができ、時間の短縮が図れます。
また、家事室を設けることで生活感を隠しつつ、整理整頓が行き届いた空間を維持できます。
このように「時間の余裕や心のゆとりが生まれることで、趣味や新しい活動にも挑戦しやすくなり、より豊かな暮らしが実現できる」という考え方が、忙しく日々を生きる人々の共感を得ています。
そこで今回は、これから注文住宅を建てる人のために、現代の「家事室」について、考え方やメリットについて事例を交えながら解説します。
家事室とは?「効率」と「空間」にこだわる方は特にオススメ
家事室とは、家の中で家事を集中して行える場所です。
この部屋を設けることで、家の他の部分を清潔で整然と保つことができるため、全体の整理整頓にも寄与します。
家事室を設ける目的と効果を簡単にまとめてみると、次のようになります。
2. 時間の節約 : 家事を一カ所でまとめて行えることで、移動時間が減り、効率がアップします。これにより、自分の時間を確保しやすくなります。
3. 生活感を隠す : 洗濯物や掃除道具など、日常的なアイテムを見えない場所にまとめることで、リビングや他の居住スペースを常にきれいに保つことができます。
4. ストレスの軽減 : 片付けや掃除がしやすくなり、家庭内でのストレスが減少します。
仕事や育児、趣味など多忙なスケジュールを持つ家庭では、家事を効率化して自由な時間を増やすことはとても大切です。
国立社会保障・人口問題研究所による調査によると、一般的な生活者が1日の中で「家事」に費やす時間は、平日で247 分(4 時間 7 分)、休日 276 分では(4 時間 36 分)となっています。
家事室の設置で、この家事時間が短縮できれば、時間にゆとりが生まれ、家庭として生活の質を向上させることにもつながります。
子育て世代の家族、共働き世帯など、忙しくて家事に多くの時間を割けなくても、快適な暮らし方を追求したい方に、家事室は最も有効なスペースだといえるでしょう。
【出典:第7回全国家庭動向調査報告書 (2022年社会保障・人口問題基本調査)】
家事室の3大メリット
ここでは、家事室のメリットを3つのポイントに絞って解説します。
家事動線を集約することで効率化と時短が図れる
「家事室」を取り入れることで、家事動線が効率的に集約され、家事全体の時間が短縮されます。特に、仕事や育児で忙しい世代の方々にとって、毎日の中で少しでも自分の時間を持つことには大きな価値があります。
例えば、家事室があると洗濯やアイロン掛けなどを、一箇所で効率よく行えます。
必要な道具を納戸などから出して来る、スペースを確保してセッティングする、作業する、片付けるといった動きが、家事室の中だけで完結します。
このような導線の無駄を省き効率化することで、家事をする時間を大幅に短縮し、その分家族と過ごす時間や趣味に充てる時間が増えます。
生活感を隠せるため空間がスッキリ。洗練された印象に
家事室には、生活感を隠しつつ空間を洗練させる役割もあります。
家事室を設けることで、洗濯物や掃除道具、アイロン台などの家事用品は、家事室にまとめて収納することができるので、リビングやダイニング、寝室といった生活空間は常にすっきりとした状態を保てます。
このような整然とした環境は、家に帰ってきたときの安心感や心地よさを高め、日々のストレスを軽減する効果もあります。
さらに、家事室があることで、生活の「舞台裏」を見せないという贅沢な体験が得られます。
家族や友人が訪れた際にも、家の中は整然とした美しさを保ち、居住空間の洗練された雰囲気が引き立ちます。
収納庫で在庫管理と無駄な出費を削減
家事室を設けることで、収納スペースを有効に活用できるので、日用品や食品の在庫管理がしやすくなります。在庫管理が家計に与える効果は非常に大きく、実際に無駄な出費を大幅に削減することが可能です。
例えば、消費者庁による消費者調査によると、日本の家庭では年間約2〜3万円の食品廃棄が発生しているとされています。
家事室に専用の収納庫(パントリー)を設けることで、在庫の把握が容易になり、必要なものだけを適切なタイミングで購入することができると、無駄な買い物を防ぎ、年間数万円単位の節約が期待できます。
また、日用品のストック管理が整うことで、特売日にまとめ買いをしても無駄にならず、効率的に活用できます。
作業スペースとして仕事用の空間を確保できる
家事室は単なる家事をこなすためのスペースにとどまらず、作業スペースや仕事用の空間としても活用できます。
家事室という多目的なスペースを確保することで、日常生活の質が格段に向上します。
集中して作業できる
まず、家事室を活用することで、集中して作業できる環境が整います。
例えば、アイロン掛けや裁縫といった作業を行う際も、家事室の専用スペースで効率的に進めることができます。
また、リモートワークの需要が高まる中、家事室を簡易的なホームオフィスとして利用することもスペースの有効な活用方法です。
専用のデスクや収納を備えることで、集中力が高まり、仕事の生産性も向上します。
家の中でオンとオフの切り替えができる
さらに、家事室を設けることで、家庭内の「仕事とプライベート」の切り替えがしやすくなります。
専用の作業スペースを持つことで、リビングやダイニングをリラックスする場所にできるので、空間にメリハリが出来て、家全体の環境を整えることができます。
このように、家事室は多用途に使えるスペースであり、生活の様々なニーズに応える万能な部屋です。快適で効率的な環境を整えることで、生活全体が豊かになることは間違いありません。
家事室のデメリット
ここまで、家事室の魅力やメリットをご説明してきましたが、見方によって「デメリット」と捉えられる点もあります。
主には、次のような点が挙げられます。
有効活用できない場合がある
家事室はとても便利な空間ですが、「有効活用できないという」デメリットが発生する場合もあります。
例えば、家事スペースが極端に狭く、整理整頓が難しかったりすると、かえって物が散乱しやすくなり、思ったほど効率が上がらないことがあります。
また、家事室を適切に設計しなかった場合、使い勝手が悪くなる可能性もあります。
しかし、こうしたデメリットは、いくつかの工夫で解決することができます。
まず、スペースを最大限に活用するために、収納家具や棚を上手に配置します。
引き出しやフックを活用することで、物の出し入れがしやすくなり、整理整頓も簡単になります。
また、家事室の設計段階で、家事動線を意識した配置にすることで、効率的に作業を行うことができます。たとえば、洗濯機とアイロン台の間に作業台を設けることで、洗濯からアイロン掛けまでの作業をスムーズに行えます。
さらに、定期的な見直しとメンテナンスも大切です。不要な物を定期的に整理することで、スペースを常に使いやすく保てます。
こうした工夫を施すことで、家事室はそのポテンシャルを最大限に発揮し、日常生活をより快適で効率的にしてくれます。
他の部屋が狭くなる
家事室を設けることで、他の部屋のスペースが狭くなるという設計上のデメリットがあります。
特に限られた床面積の中で家を設計する場合、この問題は避けられません。
リビングや寝室の広さを犠牲にしてまで家事室を作るべきか、悩む方も多いでしょう。
しかし、このデメリットも工夫次第で解決できるかもしれません。
コンパクトなサイズにする
まず、家事室は広すぎず、コンパクトに設計しましょう。
収納力の高い家具や壁面収納を活用することで、小さなスペースでも効率よく家事をこなせるようにします。
例えば、折りたたみ式のアイロン台や、引き出し式の洗濯物収納を取り入れることで、必要な時だけスペースを使用し、普段はスッキリとした状態を保つことができます。
機能を統合する
キッチンや洗面所と家事室を一体化させることで、スペースの有効活用が可能になります。他の部屋の広さを保ちながら、家事室の機能を取り入れることができます。
さらに、家事室自体を見直し、必要最低限の機能だけを持たせることで、スペースを節約しながら効果的な家事空間を作ることができます。
このような工夫をすることで、家事室を設ける際の問題が解決すれば、全体的な住み心地を向上させることができます。
床面積が増え、費用がかさむ
家事室を設けることで、必要な床面積が増え、その結果として建築費用がかさむという設計上のデメリットがあります。
特に、限られた予算で家を建てる際、この追加費用は悩ましい問題となるでしょう。家事室の設置は便利な反面、初期費用が高くなるため、家計に負担がかかる可能性があります。
しかし、このデメリットにも解決策はあります。上の方でもお伝えしていますが、まず、家事室のスペースを最小限に抑えることを考えましょう。
例えば、家事室の広さを必要最低限にし、その分他の部屋を広くすることで、全体のバランスを取ることができます。
コンパクトな家事室でも、収納や作業スペースを効率的に配置することで、機能性を損なうことなく活用することは可能です。
また、マルチファンクションスペース(多機能空間)として家事室を設計することも有効です。
例えば、家事室をホームオフィスや趣味のスペースと兼用にすることで、スペースの有効活用が図れます。家事以外の用途にも使えるため、投資効果が高まり、費用対効果が向上します。
さらに、建築コストを抑えるために、シンプルなデザインや手頃な素材を選ぶことも考慮すべきです。建築費用を見直し、予算内での最適な家事室設計を実現することで、初期費用を抑えることができます。
このように、工夫次第で家事室のコスト増を抑えることはできます。
家事室で役立つ設備
次に、家事室にあると活用の幅が広がる、便利な設備をご紹介します。
収納
収納は、家事室に欠かせない設備です。
棚や引き出し、クローゼットなどの収納スペースを設けることで、洗剤や掃除道具、アイロンや洗濯物などを効率的に整理整頓できます。
収納が充実していると、家事用品を見つけやすくなり、無駄な動きを減らすことができます。
また、必要なものが一目でわかるため、重複購入を防ぎ、無駄な出費を防ぎます。
整理整頓が行き届いた空間は、視覚的にも心地よく、家事のストレスを軽減する効果もあります。
室内物干し
室内物干しは、雨天や花粉の季節でも洗濯物を乾かせる便利な設備です。
天井や壁に設置することで、スペースを有効活用しながら、干す場所を確保できます。
使わない時は邪魔にならないように伸縮できたり、収納できたりするタイプもあるので、小さな家事室にも設置できます。
室内物干しがあることで、天候に左右されずに洗濯物を干すことができます。
特に忙しい日常生活の中で、洗濯のタイミングを選ばずに済むのは大きなメリットです。
また、室内で乾かすことで、衣類の色あせや劣化を防ぐ効果もあります。
換気システム・除湿器
換気システムや除湿器は、室内の湿気や臭いを効果的に取り除くための設備です。
特に洗濯物を家事室で干す場合、湿気がこもりやすいため、これらの設備は欠かせません。
換気システムや除湿器があると、湿気やカビの発生を防ぎ、清潔で健康的な環境を保つことができます。また、衣類や布団の乾燥時間を短縮し、家事効率を向上させます。
快適な空気環境を保つことは、家事作業をする際の快適さにもつながります。
作業台
作業台は、アイロン掛けや衣類のたたみ、その他の細かな作業を行うための専用スペースです。広くて安定した台は、作業を快適に進めるために重要です。
作業台があることで、アイロン掛けや衣類のたたみ作業がスムーズに行えます。
作業台の高さを調整できるタイプであれば、体に負担をかけずに作業ができ、長時間の家事作業でも疲れにくくなります。
また、専用の作業スペースを持つことで、他の家族の邪魔をせずに家事を効率的に進められます。
壁掛け扇風機
壁掛け扇風機は、家事室の空気を循環させ、涼しさを提供するための設備です。
壁掛けなら省スペースで設置できるため、作業スペースを圧迫しません。
壁掛け扇風機は、特に夏場の暑い日や湿気が多い時期に、涼しい風を送りながら、空気の循環を促進し、湿気や臭いのこもりを防ぐなど、快適な作業環境を提供します。
さらに、換気システムと併用することで、より効果的に空気の質を改善し、快適な家事環境を維持することができます。
家事室の設置にかかる費用について
家事室設置の費用については、注文住宅で家事室を設ける場合と、既存の住宅に新たに設ける場合では大きく異なります。
注文住宅(新築住宅)の場合、設計費や施工費などが家全体の計画に含まれるので、どんな機能を持たせるのかによって設備費用や追加の工事費が計上されることになります。
収納、作業台、換気システム、室内物干しなどの設備費用は一般的には数万円から数十万円の範囲ですが、メーカーや仕様、デザインにこだわる場合は、もっと高額になる場合もあります。
家事室の設置に伴う、配管工事や電気工事などの追加工事が必要な場合は、数万円から十数万円程度が加算される場合があります。
また、最初から「家事室」を標準仕様に含んだ住宅を販売している工務店や住宅メーカーもあります。
家づくりをはじめる前に、坪単価に含まれる仕様を確認した上で、希望する家事室の費用について、しっかりと見積もりを取る事をおすすめします。
一方で、既存の住宅に改めて「家事室」を設ける場合は、さまざまな要因によって異なりますが、一般的には設計費用、建設・施工費用、設備費用などが必要で、100万円〜500万円の予算が必要となるため、家計への負担が大きくなります。
家を建ててから新たに家事室を設けるより、建てる前に計画に加える方が賢明だといえるでしょう。
失敗を防ぐ家事室の設計・確認ポイント
ここでは、家事室を計画する時に、気をつけておきたいポイントを紹介します。
出来上がってしまってから、「こうすればよかった」などと効果しないように、しっかりと確認しておきましょう。
家事室の施工事例を多く持つ工務店や住宅メーカーの場合は、相談の段階で適切なプランを提案してくれますが、予め自分でも理解しておくことで、より家事室を設置できます。
目的
家事室の設計でまず重要なのは、その目的を明確にすることです。
例えば、洗濯やアイロン掛けをメインにしたいのか、収納や整理整頓に重点を置くのか、目的に応じて必要な設備やスペースが変わります。
目的をはっきりさせることで、無駄のない、使いやすい空間を作ることができます。
導線・使いやすさ・室内での動きやすさ
家事室の導線は、使いやすさに直結します。
頻繁に行う家事の流れに沿って家具や設備を配置することで、無駄な動きを減らし、効率よく作業を行えます。
例えば、洗濯機から作業台、収納までの動線をスムーズにすることで、家事がスピーディに行えます。
収納
収納スペースは、家事室の機能性を左右する重要な要素です。
洗剤や掃除道具など、使用頻度の高いアイテムを手の届く場所に収納し、使用頻度の低いものは上部や奥に配置するなど、用途に応じた収納計画を立てましょう。
適切な収納があれば、家事室は常に整頓され、作業効率もアップします。
風通し
風通しの良さは、家事室の快適さに影響します。
特に洗濯物を干す場合、湿気がこもるとカビの原因にもなります。
窓や換気扇を設置し、空気の流れを確保することで、常に清潔で快適な環境を保ちましょう。
日当たり
日当たりの良さも重要なポイントです。日光が差し込むことで、洗濯物が乾きやすくなるだけでなく、部屋全体が明るくなり、気分も明るくなります。
家事室の配置を考える際には、自然光が十分に入る場所を選ぶと良いでしょう。
コンセントの位置
コンセントの位置は、家事室の使いやすさを大きく左右します。
アイロン、洗濯機、乾燥機など、電化製品、またはPCなどを使用する際に適切な場所にコンセントがあると、配線がスッキリし、作業がスムーズに行えます。
事前に必要な電化製品とその使用場所を想定し、コンセントの位置を計画することが大切です。
【実例】可動式の棚とワークスペースで家事室がミニオフィスに!
友和ホームの標準仕様で設置した家事室で、ポイントは可動式の棚と窓の配置を活かしたデスクです。
キッチン隣のスペースを無駄なく活用して、コンパクトに仕上げしました。
棚は、ストックや日用品など置くものによって高さが変えられるので、保管に重宝します。
カウンタースタイルのテーブルは、椅子をセットしてPCを置けば、ちょっとしたホームフィスとして、テレワークにも十分使用できます。
テーブルの位置にコンセントも設けてあるので、充電はもちろん、アイロンがけにも使えます。
棚下も広く、掃除機などの収納に便利。
当社の標準仕様である「珪藻土壁」と「無垢フローリング」の自然素材仕上げで、窓からは柔らかな光が届く、心地よい家事室になりました。
【家事室物件有】ご相談は友和ホームへお任せ!
友和ホームが建てる住宅は、坪単価 65万円のハイグレード自然素材住宅で、家事室やクローゼット内も含む、全室無垢フローリング、珪藻土仕上げです。
玄関のシュークローゼット部分から家事室へ、リビングを通らずに買い物を運び込める導線優先の家事室や、キッチンや洗面所との行き来を考えた家事室、リビングルームなど居室の面積を削らずに上手に空間を配置した家事室など、住む人が思わず「嬉しい!」と言ってしまう空間を備えています。
建売住宅にも注文住宅にも決まったパターンは無く、立地に合わせて、1棟1棟テーマのある家づくりを行うので、家事室も全く同じというものはありません。
特に注文住宅の場合は、施主様のライフスタイルが輝くひと工夫を加えて、感動のある住まいをお届けしています。
● 家事室とは、家の中で家事を集中して行える専用スペース。
● 家事室は、家の整理整頓や生活感を隠すのに役立つ。
● 家事室には、家事の効率化と時短、空間の洗練、在庫管理と節約、作業スペースの確保などのメリットがある。
● 家事室設置による床面積やコストの増加などのデメリットは、計画段階で工夫することで改善できる。
● 家事室にあると便利な設備には、収納、室内物干し、換気システムや除湿器、作業台、壁掛け扇風機などがある。
● 家を建ててから新たに家事室を設けるより、建てる前に計画に加える方がコストパフォーマンスに優れている。
今回は、家事室についてご紹介しました。
友和ホームでは、ご提案する全ての注文住宅、計画する建売住宅の全てに「家事室」を設けています。
特別に広いスペースを確保しなくても、住む人の家族構成や、日常の買い物などの行動パターンから、生活動線がスムーズになる家事室は実現します。
たくさんのご家族から、「とても便利!」「あってよかった!」などのお声をいただきながら、常に生活を豊かにするアイディアいっぱいの家づくりをご提案していますので、まずはお気軽にご相談ください。