自然素材住宅で珪藻土を使うメリットとデメリット

珪藻土(けいそう土)は、古代ギリシャ時代から建築材料として使われてきた「自然素材」です。

その名の通り、「珪藻(けいそう)」という植物プランクトンの死んだ殻が沈殿し、長い年月をかけて化石化してできた「土」で、日本では七輪や耐火レンガの材料として使われてきました。

数年前に、珪藻土を使ったバスマットが一大ブームとなりましたが、住宅業界ではそれ以前から、珪藻土を壁材として使用しています。

とはいえ、日本の住宅では約9割がビニールクロスと言われており、塗り壁、中でも珪藻土壁材の施工例は決して多くはありません。

では、自然素材住宅で、あえて「珪藻土」を使うメリットはどこにあるのか?特徴や性能についてお話しします。

 

珪藻土の特徴

 

珪藻土は、珪藻という植物性プランクトンの化石ですが、表面に微細な孔(0.1~0.2ミクロン)が無数に規則正しい配列で存在する「多孔質」であることが大きな特徴です。

数え切れないほどの「孔」の面積は、指先大の珪藻土でグランド面に匹敵すると言われており、これによって優れた呼吸性と吸着性を発揮します。

また、耐火性や断熱性とともに絶縁性にも優れています。

こういった特徴を持った珪藻土を主原料とした壁材が、住宅の内装で使われる「珪藻土」です。

 

※ 写真は多孔質のイメージです

 

珪藻土壁材を使うメリットは?

 

珪藻土が住宅の壁材として使われはじめたのは、およそ30年ほど前からです。

当時は、新建材やビニースクロスなどから放出される化学物質などによる室内空気汚染が引き起こす健康被害の「シックハス症候群」が、社会問題になっていました。

室内空気汚染に目が向けられるようになり、内装のほとんどを占める「壁」の仕上げとして、ビニールクロスに替わる、珪藻土などの自然素材系の塗り壁材が開発されるようになりました。

自然素材系の珪藻土壁材を使用する大きなメリットのひとつは、室内空気汚染の心配がないという点ですが、その他にもメリットとなる特徴があります。

建築基準法の改正で、2003年7月1日から「シックハウス対策」が義務づけられてからは、使用する建築材料の改善など一般住宅でも室内空気汚染汚染は軽減していますが、全く無くなったわけではありません。

 

調湿性能

多孔質の珪藻土には、湿気を吸収したり放出したりする機能があります。

室内の湿度が高くなると湿気を吸着し、逆に室内が乾燥してくると無数の小さな穴から水分を放散するのです。

これによって、1年中快適な湿度が保たれ、過度な湿気による結露や、カビの発生も防ぎます。

お部屋の中の湿気が安定していると、ジメジメした夏を涼しく、乾燥しがちな冬を快適に過ごすことができます。

消臭性能

珪藻土の持つ無数の微細な孔が、生活臭やペット臭、煙を吸着してくれます。

また、クロス等に比べてタバコのヤニも付きません。

暮らしていると自然に発生する臭いも吸着してくれるので、年数が経ってもイヤな匂いが残らず、消臭剤などに頼らなくても、爽やかな室内環境を保つことができます。

 

ホルムアルデヒド吸着分解性能

ホルムアルデヒドは、合板などの製造に使われる接着剤、建材や家具家具からも放出され、頭痛や眼や鼻の刺激、喉の痛みのほかアレルギーの原因にもなります。

特に抵抗力の弱い子どもやお年寄りのいる家庭では、ほんの少しのホルムアルデヒドでも、身体に影響する場合があります。

アレルギーを引き起こす原因物質を、珪藻土の孔が吸収し分解するため、健康被害を未然に防ぐことができます。

耐火・不燃性能

昔から七輪にも使われている珪藻土には、火に強く燃えにくいといった特性があります。

壁材に珪藻土を用いることで、もしもの火災の際にも燃え上がることなく、ビニールクロスのように人体に有害な煙を発生させることがありません。

断熱性能

珪藻土は、空気を多く含んで密閉する構造が断熱層となり、熱や音を伝えにくく、モルタルの約10倍程度の断熱性を持つと言われています。

断熱性能が高くなる事で、光熱費の軽減にもつながります。

防カビ性能

湿気を吸ったり吐いたりする珪藻土は、壁のなかに長期間「湿気」を留めることがなく、カビが生えにくい壁材です。

また、友和ホームではさらに「抗菌性」を持つ機能性珪藻土を使用し、カビの発生を防いでいます。

 

珪藻土壁材を使うデメリットは?

 

安全性や快適性など、多くの機能を兼ね備えた「珪藻土壁材」ですが、デメリットとしては次のようなものが挙げられます。

価格が高い

ビニールクロス仕上げに比べて、一般的に珪藻土壁仕上げのほうが費用かかります。

材料そのものの価格差に合わせて、施工にも手間がかかるため、建築コストに影響します。

 

施工に時間がかかる

接着剤で貼るビニールクロス仕上げに比べて、下地処理や乾燥などの時間を要します。

 

施工技術が必要

珪藻土に限らす、塗り壁仕上げの場合は、職人の施工技術によって出来栄えに差が出ます。

友和ホームでは、全棟で専任の左官職人が施工にあたっています。

 

色や柄が選べない

ビニールクロスに比べて、色や柄のバリエーションが少ない事もデメリットのひとつかもしれません。

友和ホームでは、カラーバリエーションのある珪藻土壁材を採用しており、物件のコンセプトに合わせて、オリジナルのカラーを調合し、施工しています。

 

 

【まとめ】

  • 珪藻土は植物性プランクトンの化石で、表面に微細な孔があり呼吸性と吸着性を発揮する。
  • 珪藻土の調湿性能により、室内を快適な湿度に保つことができる。
  • 珪藻土の消臭性能により、生活臭やタバコ、ペット臭が部屋に残らなくなる。
  • 珪藻土のホルムアルデヒド吸着分解性能により、アレルギーやシックハウスの発生を抑えられる。
  • 珪藻土の耐火・不燃性能性能により、火災の際に延焼や有毒なガスの発生を防げる。
  • 珪藻土の断熱性能により、家そのものの断熱性能がUPし、光熱費削減にもつながる。
  • 珪藻土の防カビ性能により、家にも人体にも有害なカビの発生が防げる。
  • 珪藻土はビニールクロスと比較して、価格が高く施工に技術と時間がかかる。

 

ここまで、自然素材住宅で珪藻土を使うメリット、デメリットをご紹介してきました。

ただし、珪藻土といっても、さまざまな種類がありますし、室内の施工範囲などもそれぞれ異なり、それによって、発揮される性能=メリットにも違いが生じる場合があります。

「自然素材」「珪藻土壁」というだけで納得せずに、どこが自然素材で、どんな自然素材をどれだけ使用しているのか、確認する事が大切です。

友和ホームでは、天井からクローゼットの中まで、壁面全体に珪藻土を標準仕様で施工しています。

また、特定の珪藻土メーカーと提携して、性能やカラーなど高品質で多機能な材料を採用するなど、こだわりの自然素材住宅を施工しています。

 

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